緑内障で使われる点眼薬の種類
最初の薬として、PG関連薬かβ遮断薬が多く選ばれますが、患者さんの症状に応じて「炭酸脱水酵素阻害薬(CAI)」、「α1遮断薬」、「交感神経刺激薬」、「副交感神経刺激薬」なども選択されます。
ドクターにより異なりますが、一例をあげると次のような順番です。
- 第1選択薬・・・プロスタグランジン(PG)関連薬
- 第2選択薬・・・β遮断薬。もしくは炭酸脱水酵素阻害薬(CAI)、α2作動薬
- 第3選択薬・・・α1-β遮断薬、α2作動薬、配合剤
単剤からスタートし、効果が不十分なら複数の薬剤が処方されます。しかし点眼の手間がかかることから最後には配合剤が処方されることが多いです。
それでも十分でなくなると(だいたい3剤以上)、レーザー治療や手術への移行が検討されだします。
点眼薬3つのタイプ
緑内障の点眼薬は眼圧を下げる方法に応じて次の3つのタイプに分けられます。
- 房水の分泌を抑える薬
- 交感神経β遮断薬
- 炭酸脱水酵素阻害薬(CAI)
- 配合剤(CAI+β遮断薬)
- 房水の排出を促す薬
- プロスタグランジン(PG)関連薬
- 交感神経α1遮断薬
- 副交感神経刺激薬
- ROCK阻害薬
- 房水の排出を促す+産出も抑える薬
- 交感神経刺激薬
- 交感神経α1-β遮断薬
- 交感神経α2作動薬
- 配合剤(PG+β遮断薬)
交感神経による眼圧の上昇を防ぐ薬で、チモプトロール、ミケラン、ベトブティックなどがあります。プロスタグランジン関連薬が登場するまでは最も効果の高い薬で、今も広く使われています。
副作用として心臓の拍動が遅くなる徐脈やぜんそくを誘発するなど心臓や呼吸器への影響が見られます
炭酸脱水酵素を阻害して、毛様体で房水が作られるのを抑える薬で、トルソプト、エイゾプトなどがあります。
この薬は効果はやや劣るものの副作用が一時的な刺激(違和感や不快感)や「目のかゆみ、充血」程度と少ないのが特徴です。
「炭酸脱水酵素阻害薬」と「β遮断薬」が配合された薬で、アゾルガ(エイゾプト+チモプトロール配合薬)やコソプト(トルソプト+チモプトロール配合薬)などがあります。
チモプトロールは他の種類と合わせた配合剤がいろいろ作られていますが副作用もその分増えるようです。
たとえばデュオトラバ、タプコム、ザラカムの「PG+チモプトロール」の配合薬では、充血や色素沈着の副作用にぜんそくが加わることもあります。
眼圧を下げる効果がいちばん高く、レスキュラ、キサラタン、トラバタンズ、タプロス、ルミガンなどがあります。緑内障治療の第1選択薬となっています。単独で用いられたり、他の作用の薬と併せたりします。
1日1回の点眼で済み、全身への副作用が少ない薬ですが、「A、眼の充血」、「B、眼の周りのくすみ(まぶたなどの色素沈着)」、「まつげが長くなる」、「虹彩の色合いが変わる」などがあります。
いずれも、局所的で見た目の問題です。また、子宮収縮作用があるため妊婦には使用できない薬です。
プロスタグランジンは、すべての「痛み」や「炎症」に関与しているためか、プロスタグランジン点眼薬を中止したら長年の頭痛がなおったという患者さんもいます。
ちょっとアドバイス!副作用のセルフケア
A、眼の充血
充血は8時間後にピークが来るので、その時間が就寝中であるよう点眼するタイミングを考えれば解消できます。
B、眼の周りのくすみ
点眼したらすぐ顔を洗いましょう。おしぼりやティッシュで拭うだけでも防げます。朝の洗顔前に点眼してしまうのもいいでしょう。
デタントールなどの薬です。副作用が少ない反面、やや効果が低いです。交感神経にはα1、α2、β1、β2がありますが、α1受容体にだけ作用します。
この薬は血圧降下剤でしたが、眼圧を下げるため、緑内障の治療薬としても使われるようになりました。
副交感神経を刺激することで、隅角を拡げるサンピロなどの薬です。「近視が進む」、「充血」、「視界が暗くぼやける」、「鼻水が出る」などの副作用があります。
2014年新しく登場して急速に広まったグラナテックなどの薬です。Rhoキナーゼ(ローキナーゼ)という物質を追い払い、房水の流れを良くします。
第2、第3選択薬として既に広く使われています。点眼して「1時間半充血する」という副作用が必ず起こりますが、もとに戻るので、朝早くと夜遅くに点眼するようにしましょう。
また「アレルギー性結膜炎」や「眼瞼炎(かゆみなどのアレルギー性)」もありますが副作用としては軽いほうです。
ピバレフリンなどの薬です。効果はあまり高くなく、長期間使用すると隅角を閉塞させることがあるため、原発閉塞隅角緑内障には使われません。副作用として「結膜アレルギー」、「散瞳」、「口の渇き」などがあります。
ハイパジール、ニプラノール、ミロルなどの薬です。α1受容体とβ受容体にそれぞれ作用することで房水の分泌を抑え、その排出を促します。β遮断薬と並び、第1選択薬、第2選択薬として使われます。
副作用としてβ遮断薬同様、「徐脈(脈が遅くなる)」や「」ぜんそく」といった心臓や呼吸器への影響があります。ただ不整脈や心不全、狭心症はむしろβ遮断薬で治療するくらいなので心配はないようです。
アイファガンなどの薬で、プロスタグランジン関連薬やβ遮断薬での副作用がつらい人に対して用いられたり、効果が不十分な場合の併用薬として使われます。
副作用として「結膜アレルギー」がありますが、点眼開始から3か月以上たってから現れるため気付かないことが多いです。さらにめまい、眠気、徐脈といった全身症状が起こることもあります。
「プロスタグランジン関連薬」と「β遮断薬」が配合された薬で、ザラカム(サラタン+チモプトール)、デュオトラバ(トラバタンズ+チモプトール)、タブコム(タプロス+チモプトール)、*ミケルナ(キサラタン+ミケラン)などがあります。(*2017年登場)
配合剤のメリットは、「点眼の手間」や、「薬の本数が減せたり」、「薬に含まれる防腐剤の影響を減らせる」などですが、成分自体による副作用に変わりはありません。
点眼薬に共通する副作用
- 防腐剤による角膜障害
- アレルギーは起きて当たり前
目薬に含まれる防腐剤のベンザルコニウムが原因です。ベンザルコニウムは非常に抗菌効果が高いため、全点眼薬の約80%に含まれています。
長期間使い続けると角膜障害(角膜に傷がつく)を起こします。最近では角膜を傷つけないものも登場しています。
ただジェネリックは値段が安いため添加物も異なります。それを回避するために商品名で処方することも行われています。
ある日突然アレルギー症状が出てしまうこともあります。どの薬によるアレルギーなのか調べるために、いったん、全ての目薬を止めてから1種類ずつ再開することで突き止めます。
緑内障点眼薬の種類とその副作用一覧
眼圧を下げる方法 |
薬の種類 |
薬の名前 |
主な副作用 |
---|---|---|---|
房水が作られるのを抑えるタイプ |
交感神経β遮断薬 |
・チモプトール ・ミケラン ・ベトブティック |
・ぜんそく(呼吸器系) ・徐脈(心血管系) |
炭酸脱水酵素阻害薬(CAI) |
・トルソプト ・エイゾプト |
・一時的な目の不快感、刺激程度 | |
配合剤(CAI+β遮断薬) |
・アゾルガ ・コソプト |
・一時的な目の不快感、刺激程度 ・ぜんそく(呼吸器系) ・徐脈(心血管系) |
|
房水の排出を促すタイプ |
プロスタグランジン(PG)関連薬 |
・レスキュラ ・キサラタン ・トラバタンズ ・タプロス ・ルミガン |
・充血 ・まつげが長くなる ・虹彩や瞼の色素沈着 |
交感神経α1遮断薬 |
・デタントール | ・充血 | |
副交感神経刺激薬 |
・サンピロ |
・充血 ・近視が進む ・鼻水が出る |
|
ROCK阻害薬 |
・グラナテック | ・点眼後90分の充血 | |
房水の排出を促す+産出も抑えるタイプ |
交感神経刺激薬 |
・ピバレフリン |
・結膜アレルギー ・散瞳 ・口の渇き |
交感神経α1-β遮断薬 |
・ハイパジール、ニプラノール ・ミロル |
・ぜんそく(呼吸器系) ・徐脈(心血管系) |
|
交感神経α2作動薬 |
・アイファガン |
・3か月後にアレルギー性結膜炎 ・眼瞼炎 |
|
配合剤(PG+β遮断薬) |
・ザラカム ・デュオトラバ ・タブコム ・ミケルナ |
・充血 ・まつげが長くなる ・虹彩や瞼の色素沈着 ・ぜんそく(呼吸器系) ・徐脈(心血管系) |
緑内障ジェネリックの点眼薬の一覧
先発品 |
ジェネリック |
---|---|
キサラタン |
・ラタノプロスト |
チモプトール |
・チモレード ・リズモン ・チモロール ・ファルチモ ・チアプート |
ミケラン |
・プロキレート ・カルテオロール ・リエントン |
ハイパジール |
・ニプラジロール ・ニプラノール |
ベトプティック |
・ベタキソン ・ベタキール |
ミロル |
・レボブノロール |
サンピロ |
・アドソルボカルビノ |
レスキュラ |
・イソプロピルウノプロストン |
※アントシアニンと緑内障の関係
アントシアニンが緑内障の防止に効果があるかどうかは分かっていません。
現段階では注目されているに過ぎない栄養素ということになるでしょう。
実際にもその検証が進められている最中です。
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